民営化によって「民(たみ)」はどうなるのか
労働者階級の日常生活に照明をあて、社会の矛盾に切り込む
ケン・ローチ監督作品
『ナビゲーター ある鉄道員の物語』


映画の一場面

 ケン・ローチは、イギリスの労働者階級の日常生活に照明をあて、社会の矛盾にきりこんだ映画を作っている監督です。今回はそのかれの『ナビゲーター』を上映します。
 これは英国鉄道が日本と同じく分割民営化されていく過程を保線労働者の右往左往をとおして描いたものです。日本では労働組合がJR民営化に反対してたたかい、敗れたものですが、英国はそれをしなかったのです。そうなると労働者はどうなるのか−。
 かれらは追いつめられてダメになっていくのですが、彼らは状況を理解できない。その救いのなさを面白おかしく情けなくとらえてみせます。実は、脚本家のロブ・ドーバーは、民営化に賛成した組合活動家で、その苦い体験をもとにしているからです。
 先般、日本でも尼崎事故によって民営化の矛盾が露になってきました。それでも衆院選では、小泉民営化に「民」はすっかり騙されましたが、そのマジックにしてやられるとどうなるか−。この映画にはこれからの日本の「民」が映し出されています。ホント!

                         木下昌明/映画評論家



トップへ